そもそも日本の理学療法士ってイギリスの大学院に留学できるの?臨床系vs座学系大学院

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留学準備

こんにちは!
2014年~2016年までイギリス大学院(Cardiff University MSc Physiotherapy)に留学していました、理学療法士(PT)まりあんです。

イギリスの大学院留学に興味を持ったんだけど、そもそも日本のPTってイギリスの大学院に留学できるの?

イギリスの理学療法専攻の大学院にはどんな種類があるの?考えられる選択肢は?

本記事では、大学院留学に興味を持ったPTの皆さま必見!そもそも日本のPTが大学院留学できるのかどうか、どんな選択肢があるのか、をお話していきます。

尚、今回は、「大学院」といってもMaster(修士)の話に限定し、PhD(博士)の話はしませんので、ご了承下さい。

1.日本のPTがイギリス大学院(理学療法専攻)に行くことはできるの?

結論から言うと、可能です。
(不可能だったら、このブログも存在していませんからね…。)

ただし、目指しているのが臨床系の大学院なのか、座学系の大学院なのかで、難易度は変わってきます。

2.イギリスの理学療法専攻の大学院のタイプは?~臨床系vs座学系~

まず、前提の知識として、イギリスの大学院の修士課程(Master)は2種類あります。

①Research course(リサーチコース):日本の大学院のようにリサーチ中心のコース
②Taught course(トートコース):クラスを履修することが中心のコース

①は、すでに自分の中で独自の研究テーマがはっきりしていて、指導教官の元自身で研究を進めていくコース。日本の修士課程はたいていこのタイプだと思います。

一方の②は、特に独自の研究テーマを持っていなくても、指定された授業を履修することで修士を取得できます。

イギリスの理学療法専攻の修士課程(Master of Science: MSc)は、ほとんどがこの
②Taught course
になります。①も②も修士論文(Dissertation)の提出はほぼ必須です。

このTaught courseをさらに内容で分けると、臨床系大学院座学系大学院に分けられます。
「臨床系」「座学系」は筆者が便宜的に分類したもの。

学校によって詳細は異なりますが、両者の違いは大まかに、

臨床系:臨床実習がある。以下2つに分けられる。
 ‐すでに「イギリスの」PT資格+臨床経験のある人(qualified physiotherapist)向けコース
  ⇒たいてい履修期間は1年間。
 ‐イギリスのPT資格をこれから取得したい人向けコース(「pre-registration」)
  ⇒履修期間は2年間。

座学系:臨床実習なし。座学が中心。イギリスのPT資格有無は、問われないことが多い。
 ⇒履修期間は1~1.5年。

もう少し違いを詳しく以下表1にまとめましたので、ご参照下さい。

 出願条件  履修期間内容求められる英語力費用(学費+生活費) ※1
臨床系大学院 (イギリスのPT有資格者向け)・学士(理学療法)
・イギリスのPT資格+臨床経験2年以上
原則1年臨床実習あり非常に高い (IELTS7.0以上、ネイティブとほぼ同等レベル)やや高い?学校によりけり。
臨床系大学院 (pre-registration)・学士(特に分野問わないことが多いが、生物系・人間科学系など学校により指定あり)原則2年臨床実習あり非常に高い (IELTS7.0以上、ネイティブとほぼ同等レベル)高い (¥1000万以上)
座学系大学院・学士(理学療法)
・PT資格(国を問わず)+臨床経験1年以上
1~1.5年臨床実習なし臨床系より低くてOK(IELTS6.5以上)安くはないが、実現可能(¥500~600万程度)
表1 臨床系大学院と座学系大学院の違い
 「Study portals-Masters」サイトでイギリス国内のphysiotherapy masterコースを検索。「Physiotherapy」「full time」で限定した延べ45校を参考に、筆者が作成。
※1:費用は、筆者が留学した2014~16年時点のもの。表は「年間」ではなく、「留学トータル」でかかる費用。

3.日本のPTがより実現しやすいイギリス大学院留学のタイプは?

臨床系、座学系の2つの中で、日本のPTが実現しやすい理学療法専攻の大学院は、

座学系大学院

だと思います。実際筆者もこのタイプの大学院に留学しました。

理由は、座学系大学院は臨床系大学院よりも

①出願条件が緩いから
②費用が比較的安いから
③比較的英語力が低くても大丈夫だから

PTの大学院留学と聞いて、まず思い浮かべるのは「臨床系」大学院だと思います。実技・臨床実習をしながら、より実践的な知識・技術を学ぶイメージです。

筆者もはじめは、臨床系大学院をイメージしていました。日本のPT養成校では、臨床技術を体系的に教わることはほとんどないため、PTの本場で、徒手療法などの確かな技術を身につけられたらいいなという思いがありました。

ただ、色々調べるうちに、イギリスの臨床系大学院に行くには、①出願要件②費用③英語力の面でかなりハードルが高いなと思うようになりました。

まず、臨床系大学院の出願要件がかなり厳しい…。

PT有資格者(qualified/registered physiotherapist)向けの大学院―たいてい「Musculoskeletal Physiotherapy」など、専攻名が理学療法の中でも専門を打ち出している―の出願要件の多くは、「イギリス」のPT資格を持ち、臨床経験が2年以上あることです。

日本のPT資格はイギリスでは通用しないので、このコースに出願したい場合は、イギリスのPT資格を取得している必要があります。これが中々煩雑な模様…。

筆者は当時、英語で書かれたイギリスのHPを読んでもよくわからなかったため、このタイプの大学院はちょっと無理だなと諦めました。そもそもPT有資格者向けの臨床系大学院は数が少ない印象です。

では、イギリスのPT資格を得られる大学院-たいてい専攻名は「MSc Physiotherapy(Pre-registration)」-ではどうか…?

こちらであれば、何かしらの学士Bachelorを持っていれば出願可能なので、日本のPT資格でも出願は可能だと思います。

ただ、履修期間が2年間と長いので、学費が高い。学費と生活費合わせて¥1000万以上必要になってくるかと思います。また、現地での臨床実習になるので、当然高い英語力が必要です。

費用と語学力の面で、このコースは実現が難しいな、と思い筆者は臨床系の大学院は選択肢として却下しました。

となると、残る選択肢は、座学系の大学院

こちらであれば、日本のPT資格と臨床経験で出願可能です。履修期間が1~1.5年と短いので費用も比較的安く済み、英語力もそこまで求められません(一定レベルは必要ですが…)。

4.その他の選択肢~専攻をずらす~

その他の選択肢としては、MSc Physiotherapy以外の専攻を目指す、というのも一つです。

例えば、専攻を少しずらして、
・Exercise rehabilitation
・Health promotion
・Public health

など、「Physiotherapy」ではないけれど、それに関連するものを学べる学校もあります。

自分の学びたいものがはっきりと明確な場合は、Physiotherapyにこだわる必要はなく、もう少し広い範囲で専攻を考えていってもよいのかもしれません。

5.まとめ

本記事では、日本のPTがイギリスの理学療法専攻の大学院を目指すことは可能であり、より実現しやすいのは「座学系」大学院であることをお話しました。

では、日本のPTが座学系大学院に行くためには、何が必要なのでしょうか?次回の記事でお話します。

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