こんにちは! 2014年~2016年までイギリス大学院(Cardiff University MSc Physiotherapy)に留学していました、理学療法士(PT)まりあんです。
大学院留学後のPTって、キャリアの選択肢はどのようなものがあるの?
まりあんは大学院留学後、どんな進路を選んだの?
PTが海外大学院留学をした後、どのようなキャリアを進むのか?その実態、気になりますよね?
筆者は、留学後のキャリアを考えた時に、気になりました。
ですが!
調べてみても、PTの大学院留学その後のキャリアの実際に関する情報が、まあ見つからない…。
そもそも大学院留学をするPTは、母数自体がかなり少ないので、無理もないんですが。
そこで今回は、他ではほとんど得られない情報満載!PTの大学院留学その後のキャリア選択と実態について、筆者の経験を交えながら解説します。
今回の内容も前回記事「理学療法士が大学院留学をする意味はある?【経験者がメリット・デメリットを解説】」同様、PTだけでなく、OT(作業療法士)やST(言語聴覚士)などリハビリ職種、その他医療職の方にも参考になると思います。最後までぜひお読みください。
1. 海外残留?or帰国?迫られる選択
大学院留学後に迫られる選択は、
そのまま海外(筆者の場合はイギリス)に残るか?
それとも帰国するのか?
ということです。筆者は留学前は「海外に残れたらいいな」と漠然と思ったりもしていましたが、海外残留は諦めました。
なぜならば、
① 文化の壁、言語の壁が思ったより高く、イギリス残留は無理だと思ったから。
② 完全にプライベートな理由
:当時付き合っていた彼氏(日本人、現夫。割と内向的)と婚約していたから。
①に関しては、
- イギリスでPTとして働くのに必須のPT資格の取得方法が、煩雑でわからなかった。
※現在は、PT協会のHPにイギリスPTの取得方法が載っています。(イギリスPT資格を取得された佐久間 善子さん提供。) - イギリスPT資格を得たとしても、就労ビザを得るのが狭き門と聞いた。
- 英語(特にスピーキングとリスニング)に思いのほか苦戦し、英語はもうお腹いっぱいだった。
- 主張の強い欧米文化に少し疲れた…。
といったところです。
大学院留学と聞けば、誰しも!?海外に残留して、華々しいキャリアを築くのに憧れますけどね。
筆者の場合は、大学院留学の夢を叶え、修論をやり切り、何だかもうこれ以上頑張らなくてもいいかーと思ってしまったんですね。大学院留学が一種のキャリアゴールだったようにも思います。
日本人彼と婚約もしていましたので、「さあ日本に帰るか」と。前向きに帰国を決めました。
ちなみに、筆者とほぼ同時期に日本人PTが2名ほど同じ大学に入学されていましたが、お二人とも帰国されています。
統計を取った訳ではないですが、うまく就労ビザを取れたり、海外で起業したり、海外大学等で引き続き研究をする場合を除き、大半の方は大学院留学後、日本に帰国されるのではないかと思います。
2. 帰国後のキャリア選択肢
では、帰国後、どのようなキャリア選択肢があるのでしょうか?
①研究者の道へ行く
日本の大学院で博士を取ったり、研究者の道。
英文献が抵抗なく読めて書けるのは、大学院留学者の強みですね。
ただ、筆者の場合は、修士課程を通して研究のおもしろさを感じると同時に、あまりの研究の地道さに気が遠くなりそうでした。帰国の段階では、博士課程に行くのは現実的でないなと感じました。
②起業・開業する
大学院留学で身につけたPTスキルと知識を持って、起業・開業する。
海外修士を取ると権威性も得られるので、集客の際にお客さんに信頼・興味を持ってもらいやすくなる側面はあります。
③PT養成校の教員になる
筆者は、留学後のキャリアを考えた時に、これが一番に挙がりました。
ただ、これはなかなか狭き門…。母校で教員になれたらなと思い、母校の教員に相談しましたが、当時はポストに空きなし。今後は少子化も進むため、お勧めしないと言われてしまいました。
留学前に強力な人脈・研究等の実績があれば、実現可能かもしれません。
④PT以外の仕事をする
英語力、留学で得た経験を活かした仕事にキャリアチェンジする。
例)通訳、翻訳家、留学カウンセラー、旅行ガイドなど。
筆者も留学後の選択肢として考えました。ただ、またPTとして臨床に出たいという気持ちが強くなり、この選択肢は保留に。
⑤PTとして再就職する
結局は、この選択肢を取る方が一番多いのではないでしょうか。PTである以上、帰国してから留学で得た知識、技術を一回臨床に還元したいと思うものです。
上記①~⑤の中では、⑤が一番転職がスムーズにいく選択肢でもあります。
3.【体験談】大学院留学後の進路~筆者の選んだ道はこれだ!~
結論から言うと、筆者が大学院留学後に選んだ道は、
回復期リハビリテーション病院へ再就職
です。結構地味と言うか、平凡な道ですみません…。(謝ることはないか…笑)
筆者は、留学前の前職で急性期(オペ無し)、回復期、訪問リハ、デイケアを経験済みでした。それを踏まえて考えたのは、
- より回復段階のある患者さんをもう少し診たい。
※前職では廃用や内部疾患の患者さんが多く、「the」整形・脳血管のいわゆる「回復期」の患者さんを診る機会が少なかった。 - 「教育」に興味があったので、新人が毎年入るような職場にいたい。
- 訪問リハは正直、小柄な私は体力勝負で大変だった…。避けた方が良いかな。
※勿論、より生活に即したリハビリができるので、やりがいはあった。 - 今後、結婚・出産などするだろうから、福利厚生が整ったところがいい。フォロー体制があるのは、やはり「病院」かな。
ということです。
「もはや大学院留学あんまり関係ないじゃーん」って感じですが(笑)
とりあえず、また臨床に出たいなと。
知人の紹介や求人情報にて、たまたまリハ病院立ち上げ求人を見つけて、「これだ~!」と思って応募。そこに再就職し、現在に至ります。
4. 筆者の進路選択「実際の感想は?」
「大学院留学までして、どうしてうち(現職場)なんかに来たの?」(「他にもっと良い就職先があったんじゃない?」「勿体なくない?」というニュアンス)と、転職当初は上司に聞かれました。
確かに、病院への就職は、給料が増える訳ではないです。
金銭面だけを考えればそうかもしれません。
それでも筆者はこの選択肢に満足しています。理由としては、
① 自分の興味のある分野(回復期、新人教育)で臨床ができている。
② 2回産育休、時短勤務をしながら、仕事を続けられる環境がある。
③ 新規立ち上げのフレッシュなメンバー・雰囲気の中で仕事ができた。
④ 結果的に、留学経験が活かせる業務を任せてもらえている。
例)外国人への外来リハビリ提供、後輩の研究・学会発表のサポート、
リーダーとしてチームメンバーのマネジメント、職場の新人教育係に抜擢されるなど
④は結構大きいです。
英語が少し話せることで、「外国人対応=まりあん」と職場に認識してもらえ、仕事の幅は増えました。また、リーダーを任された時も、留学で得た問題解決能力をフルに使って仕事ができ、実績も出せたと思います。
直接給与に反映されなくても、大学院留学が活かせる場面は仕事上たくさんあるのです。
それでも、まあ、正直なところを書くと、
- 研究・教職の道は今でも興味あり
- 起業もしたい(筆者はヨガインストラクター資格も持っているので…。)
- 海外・外国人ともう少しつながりをもって仕事したい
- 英語を使ってバリバリ仕事したい
- 給料はもっとほしい!(切実…子供の教育には金がかかる。)
何だかまだ漠然としていますけどね。
子育てが少し落ち着いたら、将来的にはまた何か海外とつながる経験・仕事ができたらいいな、それをどう形にしていこうかなと思う今日この頃ではあります。
5. まとめ
本記事では、大学院留学したPTの帰国後のキャリア選択肢とその実態について、解説しました。
大学院留学後のキャリアを考えるにあたり、皆さまの一助となれば幸いです。
本日もお読み頂き、ありがとうございます。